- 戦略的人事にITを活かす - 人材・組織システム研究室
私は、1998年より、毎日のように日本企業の人事部門の部長やマネジャーに会ってきた。毎年300人以上。昨年2008年は、450社に訪問して話を聞いた。その時々の面談でのメモが書かれたノートはかなりの量になっている。
働く人たちにとって、長期人生設計ができなくなったのものこの時期であろう。伝統的な大企業内では、昇進のポストも大幅に減少した。
そうなると、新しいモチベーション施策が必要となってくる。
1998年前後に登場した、面白い現象がある。自分の「名刺」の肩書を、自由に表現できる、というものだ。
部下のいない専門職系の「担当課長」といった社員は、自分の肩書を自由に決めてよい、とした。○○○エキスパートとか、△▽プランナーといった人が増えたのがこの時期。ポスト不足のなか、どういう形であれ、肩書きを与えてしまおう、という苦肉の策だ。
それに加えて、取得した資格は、自分の意思で名刺に載せていい、とした企業が多い。社員は、リストラされないように必死に資格を取って、名刺に入れて主張しよう、となった。資格ブームの始まりは、この頃と一致しているはずだ。
その他、多くの企業が、一人一台PCを提供するよ、頑張れば選抜研修にいけるよ、といった施策を実施して、社員のモチベーションを維持しようとした。
その後、2000年くらいになると、明確に「モチベーション」という言葉が研修などでも使われるようになるが、古い価値観が壊れ、新しい価値観に移行する中で、新しい「社員の動機づけ」、ということを明示的に考える必要性が発生したのが、この時期なのだ。
第八回 これからの人事部のあり方 〜 新たな人事の役割を考える
第六回 成功するコーポレートユニバーシティ・失敗するコーポレートユニバーシティ