第125回 画面の真ん中の顔
スタジオでのモデル撮影を経験してみたいと思い、一日教室に参加しました。そうかなとは思っていましたが、生徒12人のうち女性は私だけ。あとは皆見事に「おじさま」でした。
このクラスは、皆が一斉に写真を撮るのではなく、一人が持ち時間をもらって、モデルと話をしながらシャッターを切るというもの。モデルさんは、とにかく自由に動いていくので、その動きを追いながらポーズを指示するのが精いっぱいでした。
第一ラウンドを終えると、写真の講評会がありました。皆の写真を、講師が講評していきます。そこで面白いことに気がつきました。初めてこうした形の撮影をした人たちの写真は一様に、モデルの顔が画面の真ん中に来ているのです。
写真の画面は正方形ではありませんから、顔が真中に来てしまうと、よほど背景を工夫するなどしていないかぎり、頭の上の空白が無駄に多い状態になってしまいます。つまり、かなりバランスの悪い写真、ということです。
風景を撮ることが多い私は、画面構成については神経を使って写真を撮っているつもりでした。しかし、それは、立ち止まって目の前の風景と向き合い、画面全体を目で確認する余裕があったから。動く人と会話をしながらでは、一番目立つ顔に意識を取られて、その顔が画面の真ん中にきたときにシャッターを切ってしまっていたわけです。そしてそれは、私に限ったことではなかった、ということです。
二回目、三回目と回を重ねるに従って、少しだけ画面構成を考えてから撮れるようになっていきましたが、普段の生活でも同じようなことをしてしまっているかもしれない、と思いました。
人はどうしても、目立つこと、動くもの、通常「メイン」だと思っていることに気を取られて、それらに注目してしまいがちです。そして、それを中心に考えを進めてしまう。いったい、何のために考えているのか。そもそも何を達成したいのか。状況を俯瞰することをおろそかにしたために、出来あがったものはバランスの悪い結果を生み出したりします。
可愛らしいモデルさんたちの写真を整理しながら、そんなことを考えました。
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今年も残すところ1週間。
2014年、チームのメンバーと目標を達成するための様々なプランを考えていますが、平凡な表情の顔が、(バランス悪く)画面のど真ん中にあるだけのような青写真にならないよう、しっかり取り組んでいきたいと思います。
(2013年12月24日)