第126回 自分の足で行ったからこそわかること


年末年始の休暇に、友人の結婚式に出席するため、初めてタイを訪れました。結婚するのが中国系マレーシア人と中国系タイ人で、この結婚式も日本人の私には驚くことが満載だったのですが、今回は別の話を。(こちらの話もいつか書いてみたいと思います)

結婚式はバンコクで取り行われました。初めて見るバンコクは想像以上に都会で、市内を走る電車も非常に清潔で合理的。「急速に発展しているアジア」を、今さらながら実感させられました。

2日ほどバンコク観光をしたあと、古都アユタヤを訪れることに。ツアーに乗るのはつまらない。自分たちですべて手配して、現地の感覚を体感しよう、と思ったのが、今回の話の始まりです。

アユタヤまでは、列車で1時間半ほど。日に数本、急行列車が走っていて、一部は指定席になっているらしい。ということで、アユタヤに向かう前日、フワランポーン駅という中央駅にチケットを購入に行きました。すると駅構内の入口に、「Information」と言う英文字が。そこでアユタヤへの行き方やチケットの購入に仕方の確認をすることにしました。すると、チケットは発車時刻の30分前にしか買えない。だから、明日来て買うように、と言われました。「やっぱり現地で聞いてみないと、実際のことはわからないものなんだな」と納得し、ホテルに戻りました。

翌日、少し早いかと思ったものの、発車時刻の40分ほど前にチケット売り場にいくと・・・予約できる席はすべて売り切れている。3等車の自由席しか買えない、と言われてしまいます。昨日聞いていた話と違う!と文句を言っても聞き入れられません。しかたなく、発車ホームに向かいました。

と、まず、いったいどこが自由席車両なのか、まったくわかりません。車両の表に「3」と書いてあったので、ここが自由席?と思って座ろうとしたところ、「Booked」とだけ現地の乗客に言われ、他の車両に。市内で乗りまわしていた電車からは想像がつかない、とても古い車両。乗っている人はほとんど現地の人たち。そして英語がほとんどまったく通じない。。。軽いパニックになりながら、どうやら自由席らしい席を見つけてやっと落ち着きました。

しかし、もうすぐ発車というときに、現地の女性がやってきて、どうやら「ここは私の席だからどけ!」と言ってきました。すごい剣幕です。後から考えると、このとき相手のチケットを確認すればよかったのですが、気が動転してしまい慌てて移動しました。隣のブースにいた、英語の少し話せる男性が、「この席なら、席の番号が連番ではないから大丈夫」といって、少し離れた席を選んでくれ、どうにか1時間半、立ちっぱなしでアユタヤに向かわずに済みました。

落ち着いてきて周りを見ると、ちらほらと空いている席があります。何度駅に止まっても誰も座らない。チケット売り場で指定席券は「売り切れ」と言われたはずだが。。。そして、後から私の横に座った男性が前の席に放り投げたチケットを見たら、座席指定のところには何の記載もない・・・。でも隣のブースで席について軽く揉めている。そもそも、「Information」で教えられたことは実際と違っているし。。。アユタヤに着くまで、頭の中をぐるぐるといろいろな思いが駆け巡り続けました。

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アユタヤ駅は、フワランポーン駅からは想像できない小さい駅でした。野良犬たちがホームをのそのそと歩いたり、眠ったりしています。そして、降りたとたん、タクシーや三輪車タクシー・トゥクトゥクの運転手たちから、「どこに行くんだ」「乗っていかないか」という勧誘の嵐の洗礼が待っていました。

その場で帰りの切符を買おうとしたときも、「発車の30分前しか買えない」と言われました。しかし今度は駅長と思われる人に直接確認しにいき、発券売り場までついて来てもらい、しっかりと指定席を確保しました。(人は痛い目に遭うと学ぶものです)

ここで誤解のないように。タイでいかに酷い目に遭ったかについて文句を言っているわけではありません。アユタヤが行くに値しない場所だと言っているわけでもありません。逆に、本当に行って良かったと思います。

ただ、アユタヤに行くのに、現地の友人の車で連れていってもらったり、ツアーに参加していたら、ここに書いたような経験は一切しなかった、とつくづく思うのです。

帰国後、アユタヤにいったことがある知り合いに「素敵なところだよね」と言われたとき、「本当にそうだねー」とは即答できませんでした。もちろん、遺跡巡りはとても楽しかった。人の親切にも触れた。でも、アユタヤにたどり着くまで、そして現地で「足」を探すときの生々しい経験などを考えると、単純に「素敵なところだよね」の一言では済ませられなかったのです。

アユタヤからバンコクに戻る車窓からの眺めは(帰路はゆっくりと座って外を見る余裕がありました!)、田んぼと今にも倒れそうなバラックのような家並みから、徐々にコンクリートの建物が並ぶ町になり、ついには何十階建てのビルが立ち並ぶバンコクに至りました。このバンコクだけにいて、観光客用のツアーに乗っていたら、知ることもなかった現実の世界が拡がっている。ほんの少しでもそれを感じることができたこの旅に感謝しました。

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電機メーカーのサムスンが、中堅社員を一年間海外に派遣する話は有名です。聞くところによると、家の手配や活動するための準備など、会社に頼らず何から何まで自分で行うのだとか。今回の経験で改めて、そこが肝なんだ、感じました。

正直、この年になると、「バックパッカー」的な旅は少ししんどいなあと思わなくもありませんが、、、今年中にまたどこかアジアの国に、こんな風に訪れることができたらと思います。

これを最後まで読んで下さった若手の皆さん。危険なことはNGですが、体力・気力が旺盛な今のうちに、他国の生の文化や生活に直接触れるような旅をしてみてはいかがでしょうか。

(2014年1月16日)

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