- 戦略的人事にITを活かす - 人材・組織システム研究室
歌手の由紀さおりさんのアルバムが、アメリカ、カナダ、ギリシャなど世界各国のヒットチャートの上位にラン
クインして話題を集めています。
アルバムの名前は「1969」。1969年当時のヒット曲を集めた12曲中11曲はすべて日本語(残り1曲はフラ
ンス語)で歌われており、7曲は当時の日本の歌謡曲。
アメリカでは、11月1日にiTunesで配信がスタートしましたが、2日にはジャズ・チャートで1位。日本の歌謡
曲を日本人が日本語で歌ったアルバムが米国のチャートで1位になるのは歴史的快挙だとか。
http://www.zaikei.co.jp/article/20111110/86244.html
インドネシアの首都ジャカルタに、現地に住む日本人向けの「じゃかるた新聞」という日刊紙があるそうです。
国外のニュースは共同通信の配信を利用していますが、国内のニュースは独自に作成しているとのこと。
10月下旬に内閣改造があったそうですが、発表翌日のじゃかるた新聞には、新閣僚へのインタビュー記
事が掲載されていたそうです。その新大臣インタビューを担当したのは、インドネシア歴2年3カ月の日本人
記者でした。
同新聞の記者のほとんどは20代の日本人。日本の大学を卒業した新卒が多く、インドネシアへの興味と
いうよりは、記者志望で、その経験を海外で積もうと考えている人が大半だそうです。環境になじめないで
帰国する記者はほとんどおらず、ここで3年ほど修行をして、大手新聞社に中途入社していくというパター
ンが多いとか。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20111102/223550/?ST=nbmag&REF=ML
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最近気になった2つの記事です。
ベテラン歌手が日本語で歌う1960年代の日本の歌謡曲が米国で受け入れられる。「海外離れ」が進む
と言われる日本の若者が、新興国で記者になりその国の大臣に直接インタビューをしている。
どちらも、日本で一般的に受け入れられている「傾向」からはずれていることが起きているという点で、物事
を「傾向」だけで捉えてしまい、それを基に判断・行動をしがちな自分の頭を、パンパンと叩かれた気分に
させられました。
例えば、「若者の海外離れ」についてよく引用されるのは、米国大学・大学院への日本人留学生の数。
実際に、90年代の半分の数に減少、3年連続で減少率が二桁というのは事実ですし、全体的にこうした
傾向が強くなっているのが現実でしょう。
しかし、こうしたマスの傾向だけに注目して「今の若者は・・・」とだけ語っていては、真の問題解決にはなら
ないだろうと。例えば、「じゃかるた新聞」の記者に挑戦する若者のような人を日本という社会はどうサポー
トできるのか、という各論からの議論も重要だろうと。
上記の2つの記事にとても励まされながら、そんなことを考えました。
「由紀さおり&ピンク・マルティーニ『1969』、
日本の歌謡曲でiTunes全米ジャズチャートで1位獲得」(財経新聞 2011/11/10)
「新卒で新興国に就職していく人々」(日経ビジネスオンライン 2011/11/8)
「米大学の留学生数 中国人が連続一位」(日本経済新聞 2011/11/15)
(2011年11月17日)