- 戦略的人事にITを活かす - 人材・組織システム研究室
野村総合研究所で証券アナリストとして欧州株式ビジネスの創業にリサーチの立場で参画後、秘書室長、人材開発部長。野村證券投資情報部長として国際分散投資を進め、野村信託銀行取締役。2009年より研修体系の再構築を志し野村證券人材開発部へ。 日本証券アナリスト協会検定会員。日本人材マネジメント協会幹事。ASTD Global Network Japan 理事、CIA公認内部監査人
前回の対談内容はこちらから↓
グローバル競争で勝ち残るために、残されたチャンスは本社機能のテコ入れ(前半)
そうですね。我々は、自分たちが成功したこと、やっていることを因数分解して、方法論・科学に昇華させていく努力が必要だと痛感しています。それによって、再現可能性が高まり、ビジネスの質とスピードを下げずにグローバル展開をしていくことが可能になるからです。
日
本には日本人が創業し経営してきた素晴らしいホテルがいくつもありますね。しかし、世界の都市への海外進出という面では、まだまだ余地が大きいのではない
でしょうか。おもてなしの心をはじめ、自分たちのサービスを因数分解して、科学的トレーニングに展開すればチャンスがあるはずです。一方、欧米資本のホテ
ルでは、数年前に移民をしてきてその国の文化に馴染みきっていない人でも、短期間でトレーニングを施し、最高のスタッフにする方法論を確立しています。だ
から、国際展開力があるんです。
例えば「モチベーション」。アメリカでは、従業員のやる気を引き出すためにはどうしたらいいのかを知るた
めに、成功・失敗を因数分解していきました。インプット=刺激を与えると、アウトプット=結果が出てくる。そのアウトプットを会社にとってハッピーなもの
にしてくためには、どういうインプットをすればいいのか。行動心理学を初めとした学問を駆使して徹底的に研究していく。その結果、モチベーションのマネジ
メントを科学的に行う方法論を確立させていきました。それを今、日本人は一生懸命学ぼうとしているわけです。しかし実は、日本人は長年「和」の力を利用し
て一人一人のやる気を引き出すことに成功してきました。ただ、あくまで感覚的で、明確な方法論や理論にはなっていなかったため、環境の変化に対応できな
かった。そこで、アメリカから輸入した理論に頼らざるを得なくなってしまった面があります。
例えば、品質改善プロセスの「シックス・シグ
マ」も、元をたどればトヨタ等で行われてきたことを米国企業が因数分解して科学にしたものです。日本企業のビジネスの中には優れた考え方や習慣、運用があ
ります。それを方法論・科学にしていく工夫、再現可能にしていくことが必要です。
(この記事は、個人的見解であり、所属する会社や所属する組織とは一切無関係です)
取材・文 大島由起子(当研究室管理人) /取材協力: 楠田祐 (戦略的人材マネジメント研究所)
(2011年10月)
鹿島 浩二氏「第27回 「既存の枠組みを超える」ために、「ビジネス改革」の一貫として取り組む」
青木 岳彦氏「第26回 人事の真の役割は「組織づくり」であり、企業における一つの「成果」と見なされるべきである。」
鈴田 透氏「第25回 インフラ、制度、意識を変革し、自社の「あるべき姿」を目指す」
湯浅 数重氏 / 佐橋 宏隆氏「第24回 新規事業立ち上げ支援のための会社を設立。世の中を変えるサービスの提供開始」
菅 直己氏「第23回 社員の能力・実力と年齢は無関係。65歳定年は今の時代とマッチしている」
垣見 俊之氏「第22回 5大商社の中で社員数が一番少ない伊藤忠商事が勝つための「健康経営」とは」
山下 美砂 氏「第21回 HRBPとして重要なことは、ビジネスを理解して、コモンゴールを共有すること」
日野 武二 氏「第20回 「会社はあなたを失いたくない」 だから人事部が社員の健康に積極的に関わる。」
菅谷 俊彦 氏「第19回 満足して働いていないスタッフに、お客様が本当に満足できるサービスは生み出せない」
長野 正史 氏「第18回 60歳以上の社員が第一線で活躍し続け、現場に貢献できる仕組みを作る」
金野 晴行氏 / 櫻井 香織氏「第17回 ワークライフ「バランス」ではなく、「ワーク」と「ライフ」をマネジメントして、それぞれの質を上げていく」
板谷 和代氏「第16回 グループとしてJALフィロソフィを体現し、一体感をもって、元気に働くために」
鈴木 敬介氏/清野 浩史氏「第15回 いい感じのHRプロフェッショナルになるには?」
梯 慶太氏「第14回 タレントマネジメントの目的は、事業の成功に求められる能力を持つモチベーションの高い人材をタイムリーに提供し、事業を成功させること」
木元 増蔵 氏「第13回 ベテラン社員の経験とノウハウを継承し、プロパー社員から経営層を輩出していくのが課題。」
吉田 毅 氏「第12回 組織開発とは、組織をより機能させるプロセス」
井上 宏 氏「第11回 グループ会社間の連携を強化するための思い切った移転で、「常識を破れ!」」
中川裕子 氏「第10回 「大卒入社1年目で勤続4年」もあり得る 従業員のハッピーが会社を成長させる」
野田公一 氏「第9回 英語は国内を含めたビジネスの発展のための重要なツール。多様化を尊重しながら、楽天主義を徹底。」
匂坂 仁 氏「第8回 介護の問題を抱える社員が介護と仕事を両立できるよう、人事として全面的にサポートしています」
高野明彦 氏「第7回 「日本で一番、ウェブのプロフェッショナルが活躍する会社になる」ために」
■■株式会社NTTデータ 人事部 ダイバーシティ推進室「第6回 ダイバーシティは「経営戦略」の一つという認識を」
弓削進志氏「第5回 経営的、長期的、多面的な視点を持っていれば、年上の部下にもリーダーシップが発揮できる」
落合亨氏「第4回 企業の「根っこ」を理解して、人事のバリューチェーンを実現できるか」
新井重一氏「第3回 価値観や立場の違いを受け入れ力に変えていくには− ブラサー工業の人材グローバル化の取り組みに学ぶ」
藤岡長道氏「第2回 【後半】グローバル競争で勝ち残るために、残されたチャンスは本社機能のテコ入れ」
藤岡長道氏「第2回 【前半】グローバル競争で勝ち残るために、残されたチャンスは本社機能のテコ入れ」