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第157回 経験したことのない不安を抱える今、心しようと思うこと

これまで156回、「エッセイ」と称して学んだことや感じたことを書いてき ましたが、157回目の今回ほど、何を語ればいいのかわからなかったのは初 めてでした。

未曽有の状況の下、頭では「やれることをやっていれば、後は考えすぎても 仕方ない」と自分に言い聞かせても、気がつくと不安のセンサーが敏感に反 応します。そうした不安をなだめるために、とてもわかり易いことにさっと 飛びつきたくなる自分を発見し、いやいや落ち着こう、ということが続いて いるのです。やっと落ち着いてきてはいるものの、自分の判断が信じきれな い、というのが正直なところ。

今私の周りには、いろいろな「正義」、様々な「解決策」「ソリューション」 が押し寄せてきています。というよりも、私の不安がそうしたものを引き寄 せている、というのが正しいのかもしれません。それは、善意からきている ものもあれば、商売的な意図を持ったものまで様々で、玉石混交です。でも、 不安が高じると、石なのか玉なのか、その区別が見えなくなってしまいそう になります。

戦いが見えにくい、先が見通せない、これまでの「普通」が根底から覆され るという、前代未聞の事態に対して膨れ上がる未経験の不安感をコントロール するのは、簡単なことではありません。

今は、「正しく恐れよう」と心しています。そのためには、現状・現実に出来 る限り冷静に向き合うことしかないのだろうと思っています。

私が関わるビジネス周りでも、不安に対しての「解決策」「ソリューション」 「正解」が溢れるように出てきています。それらは否定されるものはであり ませんが、何が自分たちの本当の問題なのかがわかっていなければ、単に役 に立たないだけではなく、害になることもあるのではないかと感じています。

「納豆は体にいい」と言われます。一般論としては正しいのだと思います。 しかし、もしあなたがワーファリン(血液を固まりにくくする薬)を服用して いたとしたら、納豆はあなたの今の体には取ってはいけない食品になります。 あなたが納豆の匂いや食感に嫌悪感を覚えているにも関わらず、毎日無理やり 強制的に食べさせられたとしたら、生きる喜びのひとつである食事の楽しみを 奪われることになるでしょう。

こんな今だからこそ、自分・自分たちにとって、次の一歩をどう踏み出すのが いいかをしっかりと考えたい。

16年以上関わってきたビジネスについて、そんなことを真剣に考え始めてい ます。そのなかで見えてきたことを、新しい挑戦である オンラインセミナーで お話してみることにしました。自宅やオフィスからご視聴いただけますので、 ご興味があれば、ご参加ください。

次回のエッセイでは、もう少し具体的に前を向いたお話ができるようになって いることを願って。

皆さま、くれぐれもお体にはお気をつけください。

(2020年5月21日)
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