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第160回  夢の世界に飛びつく前に、自分たちの現状を正確に把握できているのか?

先日、生け花の先生とレッスン後に雑談をしているときのこと。

先生も私も、そこそこ長い期間海外生活(英語圏)をした経験があるものの、 現在は日本にいて日々英語を使う機会がほとんどありません。英語力の維持の ために何をしているか、という話題になって、「やっぱりそうなっちゃうんですねー」 と顔を見合わせて苦笑いしたのは、、、「気がつくと、英語学習系の本が 溜まっていた」ということでした。

自分の英語力が落ちていくことへの不安から、「洗練された表現・・云々・」 とか、「上級必須単語〇〇・・」といったタイトルを看過できずに手にして しまい、なんとなくパラパラ見ているうちに、また気になるタイトルが・・・ というサイクルに陥っていくのです。(恥ずかしい話ですが)

「新しいものには、今目の前にある古いものよりも価値があるはずだ」 「自分の知らないところに、驚くような正解がある」という幻想から逃れることは、 思っているより簡単ではないと自覚しておいた方が良いようです。

もしかすると「幻想」ではないのかもしれませんが、まずは自分自身の状況や 持っているもの、周りの環境などをしっかり理解していなければ、自分にとって 「正解」なのか「幻想」か、判断もできないはずです。

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先日、「人的資本経営時代のデータ活用」をテーマにしたセミナーを複数回に 分けて開催しました。

70名ほどの方がアンケートにご協力くださいましたが、そのうち約60%の方が 「人材データが散在していて、まとめるのに手間がかかっている」、 45%を超える方が「足りない・欠損している人材データがある」と回答されました (複数回答)。アンケートでは、ほとんどすべての企業が人事系の何らかの システムを導入していると回答したにも関わらず、です。

タレントマネジメントシステム、HR Techという言葉が当たり前になり、 ピープルアナリティクス、エビデンスベースといった言葉が普通に使われるように なりました。様々な分析テンプレートや手法が提示され、その先に広がる世界が 夢のように語られます。

ただし、それらが意味を持つのは、信頼のおけるデータが使える形で一元化され 続ける仕組みがあり、分析結果の信ぴょう性(実効性)を担保できるだけの範囲 のデータが揃っていることが大前提です。

実は、その部分がぽっかり抜けている可能性は低くないのですが、、 思っている以上に見落とされることが少なくありません。

データ活用の大先輩である「マーケティング」の世界ですら、「データが"汚い" (必要な形で揃っていない)」ためにせっかく導入した高度な分析システムが 使えないという事態が今でも起きているといいます。
(「IT産業がマーテック導入に失敗し続けた原因と対策」より)

昨今、人材マネジメントに関する情報収集をしていると、新しい概念や「成功事例」 が溢れ出てきます。私自身も焦燥感や出遅れ感に苛まされそうになります。

しかし、そうしたものにすぐに飛びついてしまう前に、

・自分たちの現状を正確に把握できているのか、
・自分たちにとって有効か否か判断できる土台を持ているのか、
・それらを使いこなすための準備ができるのか、

冷静に考えてみる必要があると強く感じています。


※「IT産業がマーテック導入に失敗し続けた原因と対策」(ZD Net Japan)
https://japan.zdnet.com/article/35167405/?fbclid=IwAR02MpU0XTbO3rVAyRR0mBu8lFcUgnS33P6ZpN5eG0bNykU7qX4DBUUW20Q

※アンケートの話の部分に出てきたセミナーを、4月にも開催します。
ご興味があれば、是非ご参加ください。

「人的資本経営」時代に、「人材データ」とどう向き合っていくべきか?
真に「経営に資する人事」になるための試案・2021
詳細は こちら

(2021年3月16日)
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