2019 / 01 / 17
ポスト2020の人材戦略
~″襲いかかる圧力″と″勝負を分ける一手″~
■ 執筆者
株式会社クニエ HCMチーム マネージングディレクター 喜島 忠典氏
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目次
- これまでの人材戦略の特徴
- 人材戦略に変化を迫る4つの圧力
- 複雑化する事業戦略による圧力
- 人材の賞味期限が短期化する圧力
- 人不足と人余りが同時進行する圧力
- 働くことへの価値観の多様化と閉塞感の広がりによる圧力
- これからの人材戦略に必要なこと
- 本当に必要なポジションとそれを担えるタレントを集中して考える
- 人材の需給ギャップを本気で考える
- 雇用の柔軟性を極限まで高めてモノを考える
- 最適配置を追及する
- 現場のパフォーマンスコンサルティングを実施する
- さいごに
1. これまでの人材戦略の特徴
本稿の要旨を簡単にまとめると「2020年以前とそれ以降では人材戦略の力点は大きく変わり、従来型の人材戦略のままでは事業は立ち行かなくなる」ということだ。これから何が変わるのか、そして対応のポイントは何かに関して、可能な限り解説し、皆さんのポスト2020年のビジョン作成のお役に立てるようにしたい。
これまでの人材戦略の価値観は、事業戦略や経営目標が引いたシンプルなレールの上を、どのように従業員を走らせるかという側面が強かった。しかし、このようなアプローチが有効なのは「一生懸命頑張れば成果がでる競争環境」、もしくは「頑張れば成果が出せる人材が集まっている組織」においてである。
ポスト2020年では、そのような前提条件は大きく揺らぐ。まず事業自体の先行きの読みが難しく、環境の動きも早い。それ故に「何をやればいいか」をキッチリと定義すること自体が難しくなる。そして、何をすればいいか定義できても、現有人材では実現不可能であったり、それを補う新規の人材が獲得できなかったりということが普通に起こるだろう。
では、ポスト2020年では、なぜそのような状態になるのだろうか。その原因となる、環境変化は既にもう始まっており、これから一層顕著になる。 これから着目すべき主要な4つの圧力を見てみよう。
■ PROFILE
株式会社クニエ HCMチーム マネージングディレクター 喜島 忠典氏
大手コンサルティングファーム、商社の事業企画、人材サービス企業等を経て現職。「企業の戦略実行力強化」をテーマに、数多くの組織・人事改革のプロジェクトに従事。商社、製薬、製造、IT、小売等の企業に対して、変革期における組織・人材戦略のデザイン、各種人材マネジメントの仕組設計、およびチェンジマネジメントなどを手掛けている。