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人材マネジメントシステム設計者からの提言
人事が経営に資するために必要な、
「人材」×「仕事」×「組織」のデータ活用

■ 執筆者
インフォテクノスコンサルティング株式会社 取締役 兼 プロダクト事業統括 斉藤 由美氏

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人事システムをベースに考える合理性

 ここで、人材データ以外の情報を多く扱うことになるのであれば、既存の管理会計システムやプロジェクト管理システムをベースにする方が合理的ではないか、という疑問も沸くところでしょう。そこで注目していただきたいのは、そうしたシステムを持っている多くの会社が、人材関連データを含む経営資料を作成する際に大量のExcel作業を行っているという、現前とした事実があるという点です。私自身が受託開発に長く関わり、会計システムやプロジェクト管理システムを実際に構築してきた経験から言えることは、人事関連の情報は、会計やプロジェクトで管理するデータと比較するとより複雑だ、ということです。人は一番の不確定要素であり、そのデータは階層構造を持ち、多種類の履歴管理を求められ、変化は個人単位でバラバラに起こる。更にはきめ細かいセキュリティも考慮する必要がある。ですから、会計やプロジェクトのシステムに人事データを寄せるよりも、既に確立している人事系のシステムにデータを寄せる方が、確実で合理的だと言えるのです。

4. まとめ

 人材データだけでも、多くのことを知ることはできるでしょうし、その範囲でできることもあるでしょう。しかしすべては、最終的に会社が、短期・中期・長期的にビジネスを成功させていくための活動です。人材情報を、真の経営情報にまで高めていくためには、「仕事」や「組織」といった他の視点からの情報と自在にクロスさせて確認していくことができる仕組みが必要です。そうした仕組みを手にしたとき、人事は人材データを使って、経営に資することができるようになると考えています。

以上

2020年4月10日

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■ PROFILE
インフォテクノスコンサルティング株式会社
取締役 兼 プロダクト事業統括 斉藤 由美氏

人事業務担当者として人事業務改革、人事情報システムの運用を担当。その後ITコンサルタント、人事コンサルタントを経て、2000年にITCを設立。人事にとどまらず、経営者が必要とするシステムを提案・構築できるコンサルタントとして活躍。Rosic人材マネジメントシステムの基本構想から設計に関わり、経営に貢献できる人材マネジメントシステムの発展に力を入れ、活動を続けている。