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改めて、古くて新しい課題について考える
事業会社における人に関わる費用=広義の人件費マネジメント

■ 執筆者
インフォテクノスコンサルティング株式会社
取締役 兼 プロダクト事業統括 斉藤 由美氏/セールス・マーケティング事業部長 大島 由起子氏

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目次



1. 基礎の基礎。改めて人件費の持つ、大きなインパクトを整理する

利益を減らしかねない変動費・固定費としての人件費

 企業の利益は、売上が損益分岐点を超えることで生み出されます。その損益分岐点は固定費と変動費(売上に伴って必要となる費用)の合計と実際の売上によって決まるのはご承知の通りです。

 「人件費」には、販売費・一般管理に入る人件費等=固定費と、売上原価にカウントされる労務費等=変動費とがあります。固定費である人件費が膨らめば、利益を出すためには、多くの売上を上げなくてはなりません。業種やビジネスモデル毎に違いはあるものの、総じて人件費は固定費の中の大きな割合を占めていますから、その影響は大きなものになります。一方、売上原価/変動費が上がれば、損益分岐点を超えてからの利益の伸びを決める限界利益率が低くなり、利益創出を減速させることになります。つまり、「人件費」は利益創出に、二つの側面から大きく影響しているということです。

 ビジネスの世界にいる人であれば、「何を当たり前のことを」と思われたでしょう。しかし、自社の各従業員の人件費が、変動費・固定費のどちらに計上されているか、把握しているでしょうか?契約形態や職種でざっくりと算出していないでしょうか?人件費のマネジメントに真剣に取り組んでいる企業の人事部では、人件費の内、売上原価に入れるべきものと、固定費で計上すべきものを、実態レベルに即して算出し、経理部や経営企画部と連携して、人件費管理、さらにはそれをベースに人件費予測を行っています。その数字を経営層と共有し、経営判断のために使っています。皆さんの会社では、そのレベルで人件費マネジメントに取り組めているでしょうか?

Q:自社の各従業員の人件費が、変動費・固定費のどちらに計上されて
  いるか、把握していますか?
Q:来年度の、変動費/固定費それぞれの「人件費」を、根拠を持って
  予測できていますか?
Q:その予測の振れ幅はどの程度で、想定していた利益にどれくらい
  影響するか把握していますか?

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■ PROFILE
インフォテクノスコンサルティング株式会社
取締役 兼 プロダクト事業統括  斉藤 由美氏

人事業務担当者として人事業務改革、人事情報システムの運用を担当。その後ITコンサルタント、人事コンサルタントを経て、2000年にITCを設立。人事にとどまらず、経営者が必要とするシステムを提案・構築できるコンサルタントとして活躍。Rosic人材マネジメントシステムの基本構想から設計に関わり、経営に貢献できる人材マネジメントシステムの発展に力を入れ、活動を続けている。


■ PROFILE
インフォテクノスコンサルティング株式会社
セールス・マーケティング事業部長  大島 由起子氏

株式会社リクルート、Hewlett-Packard Australia LtdのAsia Pacific Contract Centreを経て、2004年より現職。企業の人材マネジメントにおけるIT活用推進の支援を行う。
著書:『破壊と創造の人事』(楠田祐・共著) ディスカヴァー・トゥエンティワン